2012年10月19日金曜日

売鬼

三年生の古典講読の授業で「売鬼」を講義している。
これも「捜神記」という中国の奇談のひとつであるが、これがなかなか面白い話である。
「鬼」というのは「幽霊」のことで中国では、キョンシーと言われている「幽霊」だと思うのだが、この「幽霊」が、人間に騙され、痛い目にあい、挙げ句の果てには、市場で羊として売られてしまうというかわいそうな話だ。
 元来、恐怖の対象であるはずの「幽霊」、その「幽霊」が冥土の死者として出現すれば、恐れて逃げ出すか、命乞いをするのが当然である。しかし、この話の主人公である宋定伯は「幽霊」を欺き、その弱点を聞き出し、金儲けまでしてしまう。
つまり、定伯を「目から鼻に抜ける」といったタイプの人間として描いている。
一方、ここに登場する「幽霊」はどことなく間が抜けており、親近感さえ感じてしまう「幽霊」なのである。
従って、この話は、頭の回転の速い小利口な人間と、どちらかというと鈍くさく、人間のいうことを直ぐに信用してしまう愛すべき幽霊との対比がテーマのような気がする。本当に怖いのは、実は人間なのである。

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