2012年5月22日火曜日

見るべき程のことは見つ②

昨日の知盛の「見るべき・・・」を引用していたのは、どうも小林秀雄の「平家物語」であったような気がしてきた。もう20年以上昔のことだから、これもあやふやであるが。いろいろな会社の教科書を確認してみたが、最近の教科書にはまったく載せていない。あの名文を載せないとは何事だ、とひとり腹を立ててみたが、どうしようもない。
 さて、「見るべきものを見つ」だが「見つ」の「つ」は完了の助動詞であり、動作・作用の完了した意を表す。「・・・てしまった。」さらに、「そうなったことを、だれかがしたことであると判断した意味を表す。だれかがしたことであるから、それが自分であるならば、自慢・自責などのこと。」とある。
まさにその通り。これは、平家物語の作者が知盛に自慢・自責をさせた言葉なのであろう。それにしても、なんてフィットしている言葉なんだろう。知盛はすべてを見てしまったのだ。平家の栄枯盛衰、これ以上何を見ろというのだ。

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