2014年8月19日火曜日

スタン・ゲッツ

Stan Getz Plays左の写真は「Stan Getz Plays」というアルバムのジャケット写真である。
なんとも微笑ましいショットであるが、このテナーサックスを持っている男、スタン・ゲッツほど悲しい人生を送ったプレーヤーはあるまい。

ゲッツは十五歳にしてアルコール中毒になり、十七歳ではヘロインに手を出すようになった。

村上春樹はこのスタン・ゲッツについて次のように書いている。

十五歳以降、彼は素面で過ごした日々はほとんど一日もなかった。彼の中には自分のナマの感情にまっすぐ向き合えない体質が、すでに形成されてしまっていた。素面でいようとすると、(つまり自分の生の感情と直面しようとすると)激しい鬱状態に襲われることになった。
そして、その鬱状態は彼を、暴力的な、あるいは自己破壊的な行動に駆り立てた。(麻薬捜査官に銃で抵抗して刑務所に入ったこともある。)
スタン・ゲッツは重度のアディクション(ある特定の物質や行動、人間関係を特に好む性向)と鬱症状の間を行きつ戻りつしながら、その人生の大半を送ることになる。

スタン・ゲッツと言えばボサノバ。
アストラット・ジルベルトとの「イパネマの娘」しか頭になかった私には、このくだりは驚くばかりであった。

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