2019年8月16日金曜日

蜘蛛の巣

「蜘蛛の振る舞い」という言葉がある。
これは蜘蛛が巣を作る動作であり、また恋人が訪ねてくる前触れと信じられていた。

わが背子(せこ)が 来べき宵なり ささがにの 蜘蛛のふるまひ かねてしるしも  (古今集 墨滅)

(今夜は)私の夫が訪ねてくるはず宵である。蜘蛛が巣を作る動作が前もって顕著であるなあ。

*「ささがにの」は「蜘蛛」に係る枕詞
*「かねて」は「予ねて」であり、前もっての意
*「墨滅」は古今集の歌の中で、古写本に書かれていながら墨で消してあるもの。流布(るふ)本では巻末にまとめられている。

現代では、人間からあまり好かれない蜘蛛が、かつては恋愛における大事なファクターとなっていたのですね。

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