2018年3月29日木曜日

昔の教え子

今から三十年以上前のことである。
G南の一年生の担任をしていた時、音楽の道に進みたいと言って、学校を去っていた生徒があった。
なかなかユニークな生徒で、成績も優秀だったような気がする。

何を思ったのか、昨日突然ワタシの頭の中にその生徒のことが浮かんできて、生徒の母上がやっている喫茶店に行ってみることにした。
過去にその店を訪れたことはなかったのだが、担任ゆえ店の場所は分かっていた。

思い切って店の扉を開けると、三十年前の生徒によく似た顔が見えた。
おお、と思ったが向こうの反応はまったくない。
向こうが忘れているのであれば、こちらが正体を明かすのもシンドイなと思い、珈琲を注文して小一時間を過ごした。

さあ、しょうがないから帰ろうとレジに向かった。

お金を払う時に、とうとう我慢できなくなって、聞いてみる。
「昔、〇〇さんという娘さんがいたはずですが?」
彼女曰はく、「ああ、ワタシの姉で今は東京にいます。」
そうか、よく似ていたが妹さんだったのだ。

ワタシが担任した生徒は、役者に嫁ぎ東京で幸せに暮らしているようだった。





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