2017年10月8日日曜日

「山かげふつとはためくは鯉幟」

「ずんぶり浸る展」の二日目。
今日からボチボチ作品解説をして行きたいと思う。

「山かげふつとはためくは鯉幟」

書は「鯉幟」に、はためく鯉幟の勢いを持たせたいということである。
風が無ければデレンとだらしなくなってしまう鯉幟。
一方、風をはらめばその姿はまったくの別物となる。

写真はその風をはらんで、勢いよくはためいている姿だ。
全体を写すと面白みに欠ける。
ここは思い切って寄って撮ってみた。
それによりある程度の迫力は出たような気がする。


この句は「其中(ごちゅう)日記」昭和十年四月二十五日の作である。
日記には次のように記されている。


自己克服、いひかへれば過去一年間の、あまりに安易な、放恣な、無慚な身心を立て直さなければなりません、……アルコールでさへ制御し得なかつた私ではなかつたか。……
松蝉がしきりに鳴きだした、あの声は春があはたゞしく夏へいそぐうただ。
半日、椹野川堤で読書、一文なしでは湯田へ行けないから。――

・うぐひすうぐひす和尚さん掃いてござる
・なんとよい日の苗代をつくること
・山はしづかなてふてふがまひるのかげして
◎山かげふつとはためくは鯉幟
・岩に口づける水のうまさは
・若葉したゝる水音みつけた

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