2013年8月7日水曜日

平家物語

夏休みの講習において、「平家物語」巻九の「小宰相」を講義した。
時は平家の時代、上西門院に仕えていた女房で、宮中一の美人と誉れ高かった小宰相(こさいしょう)に、一目惚れした平通盛(たいらのみちもり)は文を送り、求愛し続けるが小宰相はまったく受け入れない。
三年間の拒否に失望した通盛はこれを最後と、文を送った。
すると、どいうわけか手違いが起こり、それが幸いして、上西門院の勧めで二人は結ばれることになる。

この中で、通盛からの最後和歌に対して、小宰相に代わって上西門院が和歌を返す場面があるのだが、この和歌がふるっている。

通盛が「ふみかへされて ぬるる袖かな」と送る。
小宰相に代わって上西門院が「ふみかへしては おちざらめやは」と返すのである。

つまり、通盛は「いつもいつも手紙を返却されてしまって、私は泣いていますよ。」と送ったのだ。
それに対して、「ここであなたに手紙を返すからには、あなたのお心に従わないことがありましょうか。(従わずにはいられないでしょう。」
と返事がくるのである。
「おちざらめやは」の「やは」は反語を表す。
反語というのは強調でもあるのだ。

小宰相が直接書いた歌ではないものの、三年間拒否されてきた通盛の気持ちは、いかばかりであったろうか。
きっと「天にも昇る」ような気持ちだったのだろうね。

もっとも、その後立場は逆転して、一ノ谷の戦で通盛が戦死してしまうと、小宰相は通盛のあとを追って、船上から瀬戸内海に身を投げてしまう。
それほど、通盛に対しての愛情が強かったのだ。

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