2019年12月19日木曜日

栄花物語

「栄花物語(藤原道長の栄華を中心に記された物語)」という平安時代後期の歴史物語に次のような話がある。

道長が三位中将のころ、源雅信(当時左大臣の位であった実力者)の娘との結婚を希望した。
娘を将来の后(帝の妻)にと思っていた雅信は反対するが、道長を気に入っている雅信の妻(これがなかなかのやり手)は、この縁談に乗り気だった。
雅信は納得しないが、他に適当な相手もいないので、妻は早速支度を整え、道長を婿として迎えてしまう。

さて、雅信の妻は、何故まだ無名であり青二才である道長のことを、気に入ったのであろうか。
物語の中ではこのように書かれている。
「時々物見などに出でて見るに、この君ただならず見ゆる君なり。」
(時々祭りや行列の見物などに出て見るのに、この君は普通の人ではないと思われる君だ。)
祭りを見物している道長の様子を見て、この男将来大物になるぞと判断したのだ。
道長にはよほどキラリと光るものがあったのであろう。
果たして、道長はその後出世をし、天下人となるのである。

考えてみると、道長というのは要所要所において、このように年上の女性の強烈な支持を受けている。
「大鏡」には、この後も自身が摂政になるとき、乱暴者で周囲から人気のなかった道長を姉の栓子(せんし)が、周りを説き伏せて摂政にさせたという話も載っている。

やはり、大物になる人物というのは、年上の女性からも人気のあるものですな。

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