2016年9月18日日曜日

「大空ただしく高圧線の列」

「大空ただしく高圧線の列」

送電線の鉄塔の写真を撮りためていたので、山頭火の句の中に何か送電線の句はないかと検索したところ、この句がヒットした。
昭和七年の作で、山頭火総集編の中におさめられている句である。

二人で句を選ぶ段階において、Sさんもこの句を快く引き受けてくれた。
おそらく、彼の頭の中には句を見た瞬間にイメージがわいたのではなかろうか。
実際、二つの作品を並べてみると、極めてフィットしている。

山頭火の句は、時として非常にモダンな雰囲気を出してくる。
一般的には野山を這いずり回っているような印象があるのだが、トンデモナイ。
ビルディングであるとかデパートであるとか、カタカナ文字も並んでいるのだ。
本当はこれが山頭火の本質なのかもしれないね。

写真は白黒に近い色を出してみた。
これにより曇り空に鉄塔と電線が浮かび上がる。
そして、この句の眼目である「列」、「列」は規則正しさを象徴する。
きっと山頭火は、「列」とは対極にある自分をここに置きたかったのであろう。
書の方は、高圧線を鋭い線で表現した。
また、スピード感も出ている。
高圧線の中を凄いスピードで電気は動いているのだ。



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