2016年9月19日月曜日
「ヒヨコ孵るより売られてしまつた」
「ヒヨコ孵るより売られてしまつた」
この句も検索をかけると昭和7年、総集編とあった。
山頭火のメジャーな句ではないが、妙に心に引っかかってくる句だ。
写真はSさんとの伊香保温泉合宿の折、伊香保温泉の石段を登っている際に撮ったものである。
階段途中に小さなお宮のような小屋があり、その屋根の上に乗せられていたアヒルのオモチャである。
ちょっと前までは、きっとこのアヒルは小さい子の安全祈願ではないかと思っていたのだが、ネットで調べてみると、どうやらこのアヒル縁結びのアヒルのようだ。
石段添いには射的の店があり、そこの景品のアヒルを縁結びを願って「小さなお宮、実は消火栓のカバーを兼ねた小屋」の屋根に置いたものらしい。
誰が一番最初に置いたのか分からないが、これはヒットである。
尚、「ヒヨコ孵るより」とあるが、「アレレ写真はアヒルではないか。ニワトリのヒナがヒヨコではないか?」と、疑いをもたれる御仁もおありだろうが、ウィキペディアで調べてみると、アヒルのヒナも「ヒヨコ」ということである。
だから、これで良いのだぞよ。
さて、写真は以上のとおりであるが、書の方、実は「けさもよい日の」の句とは逆に、ワタシが無理を言って書いてもらった。最初に「カタカナ」があり、次に「孵る(かえる)」という複雑な字。
ワタシが書を書く立場であったならば、すぐさま「ゴメンネ」をして逃げ出してしまう。
しかし、そこは若いながらもよく出来たSさん、いやな顔ひとつせずに引き受けてくれた。
この世に折角生をうけたのに、すぐに売られてしまう。
その不安定なサガ、縦長の文字をあえて曲げることでこのサガを表現している。
うーん、流石だね。
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