建築家の黒川雅之の「八つの日本の美意識」という本を読んでいる。
その中の、「微」の項に日本建築の思想を伝える数寄屋に言及している部分があるのだが、これがなかなか面白い。
数寄屋には、必ず亭主の座があり、この亭主の座という一点からの風景として世界が取り込まれる、つまりこれは一点から世界を見つめるということであり、さらに世界を自分の一点に収斂(しゅうれん)させていることにもなる。
まあ、なんとなく分かりにくい言い回しであるが、要はこういうことらしい。
「微細なものに全体が含まれる」
この発想が「俳句」を生み、「幕の内弁当」を作らせたのであると。
俳句は五・七・五という、極めて短い語の中に、自分の世界を表現しようとする文学である。
また、幕の内弁当は、自己主張する多くのオカズを配置することにより、ひとつの完成形としての弁当を作り出す。
これが、「微細なものに全体が含まれる」であり、いわば「マルチパースペクティブ」なのであると。
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