ゴールデンウイークもいよいよ終盤に差し掛かってきた。
といっても何があったわけでもない。
ひたすら家にコモってウダウダしているのである。
唐突ではあるが、寺山修司没後三十年だという。
昨年、三年生の現代文の授業において、彼の歌を講義した。
ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲はかくまでにがし
(都会に出てふるさとの訛りをなくしてしまった友人と久しぶりに会っていると、モカ珈琲がこんなにも苦く感じられる。)
これは故郷から離れ都会に出て変わってしまった友への苦い思いである。きっと寺山は裏切られたような思いにとらわれたのだろう。しかしながら、もう一方ではスマートに標準語を話す都会人となった友人への羨ましい気持ちも含まれる。
矛盾した若者の気持ちを見事に表している歌だ。
ところで、寺山修司の代表的な作品に「書を捨てよ、街に出よう。」という評論集がある。
このタイトルから考えても「ふるさとの」の短歌は明らかな矛盾が想像できるのである。
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