2013年5月22日水曜日

晏子のこと

今、漢文の授業では、「蒙求」より「孔明臥竜」を講義している。その中に、諸葛孔明は「『梁父の吟(斉の宰相、晏子を褒め称えた孔明作の詩)』を愛吟していた。」というくだりがある。

晏子(晏嬰)すなわち春秋時代の一二を争う名宰相。
しかし、彼は名宰相でありながら、チョイト人間性を疑ってしまう逸話も存在する。
それは、三人の勇士を二つの桃で殺した話だ。

公孫接・田開彊・古冶子の三人の勇将を晏子は退けたいと思い、二つの桃を用意して「功績の高い者から食べよ。」と言った。公孫接・田開彊が先に桃を取ると、古冶子が「私に功績が無いと言うのか。」となじった。公孫接・田開彊は自分の貪りを恥じて自殺し、古冶子も2人が死んで自分だけ生き残るわけにはいかないと自刎し、晏子の策略は成功した。
彼らの人となりをよく知り、あえて3人を罪に陥れて刑罰に服せずに(つまり自分の手を汚さずに)自決させた逸話なのである。

さて、「梁父の吟」は、この逸話を引用して、諸葛孔明が晏子のことをこよなく尊敬していたことを表した詩であるのだが、孔明はよりによって、何故チョイト人間性を疑ってしまうような、この逸話を好んだのだろうか。
表向きは、「力ばかり強くて無礼な三人の勇士を、たった二つの桃で殺した知恵者の話」なのだろうが。
うーん不思議だ。

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