2014年4月15日火曜日

モンクとハイライト

週間朝日に「安西水丸」という三月に亡くなってしまったイラストレーターの追悼特集記事が掲載されていた。

「安西水丸」というのは「村上春樹」の本の表紙などで知られており、最近は作家、翻訳家としても活躍していたという。
そのイラストは仄々としていて、私も「おおー、安西水丸だ。」とよく見たものである。

さて、週間朝日には、かつて「村上春樹」と「安西水丸」のコンビで連載されていた「村上朝日堂」というエッセイが、一回限りの復活ということで掲載されていた。
そして、その中には、「村上春樹」が今年の夏ごろに「セロニアス・モンクのいた風景」という単行本を出すことになっていて、その表紙を「安西水丸」に依頼した時のことが書かれていたのだが、これがなかなか面白かった。

「安西水丸」は「いいよ、やりましょう。」と快諾して、そのついでに彼がニューヨークでモンクに会ったことを話したという。
(セロニアス・モンクというのは伝説のジャズピアニストなのです。)

あるジャズクラブにモンクの演奏を聴きにいった。一番前の席に座っていると、モンクがやってきて彼に煙草をねだった。
そこで、持っていたハイライト(当時、日本で一番売れていた大衆煙草。尚、ハイライトとは俗語で「もっと陽のあたる場所」という意味なのだそうだ。)を一本モンクに進呈し、マッチで火もつけてあげた。モンクはそれを吸って、「うん、うまい。」と言った。安西水丸は言う、「モンクにハイライトをあげたのは、たぶん僕くらいだよね。」と。

「モンクとハイライト」という組み合わせ、実に面白いのである。


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