2014年4月29日火曜日

「生きることに必死」

何の番組だったか忘れたが、大相撲の力士の「遠藤」が座右の銘を聞かれて、「生きることに必死」という言葉をあげていた。
これは何でもタレントの「明石家さんま」が「遠藤」に贈った言葉だという。

考えてみれば「生きることに必死」とは、実に妙な言葉である。
言葉の意味は「生きることに一生懸命」であろうが、「必死」は額面どおりに受け取ると「必ず死ぬ」である。
「必ず死ぬ」ことが何故「一生懸命」なのだろうか。
国語辞典などでは、「(死を覚悟して)全力を尽くす様子」とある。
しかしながら、「死を覚悟する」ことと、「必ず死ぬ」ことは、どうも異なるような気がするのだ。

どうしても納得のイカナイ私は、漢和辞典でもう少し調べてみた。
すると、「必」には「かならず」の他に、「もシ」の読みがあるではないか。
そうそう思い出した。
漢文の教科書「廉頗藺相如伝」にもあったぞ。

王必無人臣願奉璧往使。
(おうにもしひとなくんば、しんねがはくばへきをほうじてゆきてつかひせん。)

こちらの意味で解釈すれば、違和感はまったくない。
「必死」は「もしかしたら死ぬかもしれない状況になったら」なのである。

(写真は筝曲部の屋外パフォーマンス)

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