「地獄の門」である。
このブロンズ彫刻は上野の西洋美術館の前庭に設置されている。
先日、「バルテュス展」に行った際、西洋美術館の前を通り、ちょっと気になったので写真におさめてみたのである。
(この彫刻は美術館に入館しなくても見ることが出来るのです。)
この彫刻、無料のためか、修学旅行中の中学生も多くやって来て、ああだ、こうだと一生懸命、研修?をしていた。
静岡の県立美術館にも同じものはあるが、やはりこの門は野外に置かれていた方が様になるような気がする。
モチーフは、13世紀ー14世紀イタリア詩人、ダンテ・アリギエーリの叙事詩「神曲」に登場する「地獄への入り口の門」であるそうだ。
「神曲」地獄篇は、作者にして主人公のダンテが古代ローマ詩人のウェルギリウスに導かれ、地獄を巡るという内容で、「地獄の門」は、この入り口にかかる門であり、地獄篇の第3歌の冒頭は、「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」の銘文があり、深い絶望を表す表現として知られている。
さて、この門の彫刻は、フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの作品であるが、彼はこの門の中央上部で「地獄の門」をのぞき込む男を、一つの単体の彫刻として発表した。
これが所謂「考える人」である。(写真右)
はじめこの像は「詩想を練るダンテ」と名付けられたが、発表する時には「詩人」となった。
その姿は、地獄の中をのぞき込み、苦悩している姿であり、ダンテを表しているとも、当時問題を抱えていたロダン自身を表しているとも言われている。
0 件のコメント:
コメントを投稿