2016年10月27日木曜日

思いなぞらえる

現在、古典の講義では「源氏物語」の「柏木と女三宮」という単元をやっているのであるが、その中に「なつかしく思ひよそへらるるぞ、すきずきしきや」の部分が出てくる。

これは、柏木という青年貴族が源氏の正妻である女三宮を見て、所謂「ぞっこん」となってしまう場面だが、なかなか読み応えがあるところである。

さて、「なつかしく」とは、心が惹かれること。
つまり、女三宮に柏木は心惹かれてしまうのだ。
まあ、ここは素直に納得できるのだが、次が難解なのである。
次は「思ひよそへらるるぞ」である。
「思ひよそへらるる」の意味として、訳本は「思いなぞらえる」とあるのだ。
女三宮が去ったあと、彼女の飼い猫を抱いて「心惹かれ、(女三宮のことを)思いなぞらえる」のである。

では、「思いなぞらえる」とは何だ。
高校生でこの意味をさっと答えられる生徒はそれほどないだろう。
「思いなぞらえる」を古語辞典ではなく、国語事典で意味を引いてみる。
「なぞらえる」とは漢字で「準える」と書き、それと似た構造・性質を持ったものと見なして扱う、とある。

うーん、難解だ。
ここは、「心惹かれ、(女三宮のことを)連想する」と、シンプルにいった方が良いように思うのですがね。

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