「まし」は、「や」などの疑問の意を表す語と共に用いて、決断しかねる意を表すという用法だ。
さて、この用法でよく例に出されるのが「徒然草」第九十八段の「しやせまし、せずやあらまし」である。
「尊きひじりの言ひ置きける事を書き付けて、一言芳談とかや名づけたる草紙を見侍りしに、心にあひて覚えし事ども
一 、しやせまし、せずやあらましと思ふ事は、おほやうは、せぬはよきなり・・・・・と続く。
(第九十八段)
「しやせまし」以下の意味は、「したものだろうか、しないでおいたものだろうか、と思う事は、大抵はしない方がよい」となる。
「まし」の文法的な意味は兎も角、この部分の語意が面白い。
要は、「迷った場合には、しない方がよい」ということだ。
さすが、兼好法師。
彼の人生経験が滲み出ているような言葉だ。
物事は迷わないことが大事なんだね。
0 件のコメント:
コメントを投稿