「発心集」という鴨長明の仏教説話集には次のような話がある。
欲望とは無縁であるべき律師(僧正・僧都に告ぐ僧官)の立場で、しかも老い先短い高齢の身でありながら、別当という役職に就きたがる老人がいた。
弟子たちはこれに反対し、鬼が律師を釜茹でにしようとしている夢を見たという話を作り上げ、律師にこの夢ことを話す。
弟子たちにしてみれば、あなたが欲深いことをすると、このようになりますよ、という脅しである。
しかし、律師は夢の話を聞き、自分の貪欲の罪深さを自覚するどころか、自分の欲望の成就を確信する。
つまり、自分が釜茹でにされるということは、自分の夢(別当になること)がかなうことであると判断し、喜ぶのである。
このジジイただものではないな、というところか。
役職というのは、歳をとればとるほど魅力的なものなんだね。
政治家にジジイが多いのは、こういう理由(わけ)か。
明日のSクラスの土曜講習は「発心集」だ。
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