2020年8月29日土曜日

夜好性 そのニ

昨日の続きである。

音楽の現場がネット空間に移行してきていることを示す事例が目立ってきている。

瑛人の「香水」はその象徴だろう。
ほぼ無名の新人ミュージシャンがネット上に発表したこの曲は、TikTokなどのSNSで話題を呼び、爆発的なヒットなっている。
(YOASOBI等)彼ら彼女らは、ネット空間を本拠地とし、インターネットの向こう側の相手の存在に不安を覚えつつコミュニケーションを続ける、さらにもう一つ共通性を見出すならば、人間が歌うことを念頭におかず、PC上で制作される音楽に特有の、過剰なまでに音楽的要素を詰め込むみつつ、「ポップであること」を指向する点であろう。

目まぐるしく転調を繰り返すその音楽は、思春期的なナルシズムや孤独、破壊衝動を突き詰めたところに現れる濃厚な抒情性を示す歌詞とも呼応するものだ。
他者との安易な共感を拒絶する「夜好性」の心象風景は閉塞的にも映るが、それはネット空間に閉じ込められた我々すべてが直面する状況と響きあっている。

さて、以上増田聡氏の論文をまとめてみたが、中高生に圧倒的人気のある「ミュージシャン・曲」の成り立ちが、ほんの少しだけ分かったような気がした。






0 件のコメント:

コメントを投稿