文を記す時に欠かせない句読点の形状は、その意味を象徴していて、なかなか味がある。
例えば読点。「、」はそれ以前の句をいったん区切りながらも次に連続する形。
句点「。」は完全に円環(丸くつながった輪)、閉鎖した形で、文の終止の符号としてとても似合っている。
「 」や( )などの括弧は、いずれも語句を内に閉じ込める形をしていて、」「 のように外に開く形状で使われることはない。
これは括弧内の語句を地の文と区別し、合流しないように内閉している姿なのだろう。
さて、石川九楊はこのように書いているのだが、一体「。」や「、」の句読点はいつから我々身近なものとなったのであろうか。
句読点の歴史を調べてみた。
中国では古くからテンやマルが句切り記号として使われていたが、その使い方は一定せず、点を打つ位置によって句点と読点を区別したり、句点と読点の区別がなかったり、また句読点自体が印刷されておらず、読者の側で句読を切る必要のあるものもあった。
日本でも古くは中国と同様であり、明治以降活版印刷が行われるようになって以降、欧文の翻訳文への終止符・疑問符・感嘆符の替わりとして使用されはじめ、純粋な日本語文書にも定着した。しかし大正新脩大蔵経のような書物ではマルのみが使われている。
要は、日本で句読点が日常的に使用されるようになったのは明治以降であり、印刷技術が発達するにつれ、一般的になってきたということなのだろう。
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