現在、古典の授業において「蜻蛉日記」を講義しているのだが、その中に「夕さりつ方」という言葉が出てくる。
意味はただ単に「夕方」という意味であるのだが、「夕」と「方」の間に「さりつ」が入っている。
「さりつ」の「さり」は「去る」であろう。
この「去る」という動詞、なかなか曲者なのである。
意味としては
①進行する。
②離れて行く。遠ざかる。
③近づく。来る。
④変化する。
⑤退位する。
⑥死ぬ。
⑦色があせる。
⑧距離がある。
など多くの意味を持っている。
「去る」の基本的な意味は「進行する」であるが、ここでは「夕」という時間を表す語についているので、③の「来る」であろう。
では「つ」は何かというと、これは上代語の「格助詞」である。
所属を表し、連体修飾語をつくる。
和訳する時には、「~の」とか「~にある」となる。
以上を総合すると「夕が来るの頃」、つまり「夕方」になるのである。
なんだか、やっかいな言葉であるなあ。
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