2015年3月26日木曜日

「臭う」と「嗅ぐ」

ちょっと前にブログにおいて、「戻る」の字の「戻」の下の部分は、そもそも「大」ではなく「犬」であったということを触れてみた。
しかしながら、では何故「犬」が「大」になったのかについては、触れることができなかった。
今日は、そこについてちょいと触れてみたい。

「戻る」と共に、私にとって謎だったのが、「臭う」と「嗅ぐ」である。
「臭う」と「嗅ぐ」は、どう考えても同類項である。
ところが「臭う」は「大」であるのに、「嗅ぐ」は「犬」となる。
一体、この違いはどこからくるのだろう。

2010年に、内閣府が、それまでの当用漢字表から五字を削除し、一九六字を告示した。
その追加漢字の中に「嗅ぐ」が含まれたのである。
この「嗅ぐ」が含まれたことが妙なものを、ますます妙にしてしまった。

実はこの時、「嗅ぐ」の「嗅」は同じ常用漢字なのに「口ヘン」がついているかどうかで、「大」と「犬」の違いが生じるのは、漢字教育に混乱をきたすのではないかという議論があったそうだ。(実際私は混乱しております。)
さて、結果は「嗅」は本来の「犬」を変えることなく、「嗅」となったのである。
では、何故「臭」の方は「犬」が「大」に変えられてしまったのか。

戦前まで「犬」であった部分が、「大」に変わった例は、「器」「類」「突」などがあるという。
この変化は、日本の敗戦と大きくかかわるのだそうだ。
漢字の煩雑さを解決しようとして、1946年、当用漢字表1850字が内閣告示された。
この時に、「自」+「犬」が廃止され、「臭」が登場したのである。
「漢字の読み書きを平易にし、正確にすることを目安として一画を減ずる例」として「臭」という妙な字が出てきたのだ。(これは、漢字としては正確ではありませんがね。)

「器」「類」「突」も同様である。
「突」は、「犬」が急に「穴」から出る様子を表しているのだ。
「大」が飛び出してもしょうがないだろうに。




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