通勤途中にラジオを聴いていると、「戻る」の「戻」という漢字が話題となっていた。
「戻」は音読みで、「レイ」と読む。
意味は動詞で
①そむく。違反する。②到着する。③空気を吹いて乾かす。
また形容詞で
①ひねくれたさま。②猛烈なさま。はげしい。③凶暴なさま。
④安定したさま。
さらに名詞で
①罪。②利益。
とある
ちょと待て、「戻る」には「もどる」意味などないではないか。
漢和辞典で、その成り立ちを調べると、「戻」は会意文字で、「曲がる」ことを意味しているとある。
これは「犬」が「戸」の下から出る様子、から構成されているのだ。
きっと「犬」の体が曲がっている様子なのだろう。
では、何故「曲がる」意味の「戻」から「もどる」の意味が出てきたのか。
漢和辞典には、「日本語用法」として次のように書かれている。
「戻」は元の状態に「返る・返す」こと。「戻」に「そむく」意の「モトル」の訓のあるところから、「逆に進む」意の「戻る」に当てたのではないか・・・・・と。
つまり、中国では「戻」は基本的に「そむく」の意であったが、日本では「そむく」ことが「逆に進む」意に変化したということだ。
「戻」には、もうひとつ妙な部分がある。
「戻」の下の部分は、実は「大」ではなく「犬」であったはずだ。
それが何故「犬」が「大」になってしまったのか。
これについては、「どこかで誰かが、ウッカリ間違えた。」というしかない。
他の漢字で考えてみよう。
例えば、「臭い(くさい)」は「大」だが「嗅ぐ」は「犬」である。
「臭」を漢和辞典で調べると、会意文字として、「臭」は「自(はな)」と「犬」で構成されている。
「犬」が「自(はな)」を使って小動物を追跡する様子を意味しているのだ。
当然、意味としては「臭」の下の部分は「犬」であるべきなのだろう。
漢字としては、「臭い」より「嗅ぐ」のほうが原型を保っているのだ。
同じジャンルと思われる字が、片方が「大」で片方が「犬」というのは何か妙である。
たぶんこれも、「どこかで誰かが、ウッカリ間違えた。」に違いない。
さあ、これからは「戻る」の下の部分を「犬」と書いている生徒に、「これは違っているよ。」とは言い難いなあ。
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