2015年1月14日水曜日

臭いものに蓋をする

「臭い物にに蓋をする」
意味は「抜本的な対策ではなく、醜い状態を一時的に隠す」である。

夏目漱石「三四郎」の、今朝の新聞に掲載されていた部分にあった言葉だ。
「臭いものの蓋をとれば肥桶で、見事な形式を剥ぐと大抵は露悪になるのは知れきっている・・・・・」

これは当時台頭してきた自然主義(人間の醜いところを、これでもかと表出する)に対する皮肉であろう。
(漱石は反自然主義の作家なのです。)

形式に拘る古い考え方を、漱石は「三四郎」において、「偽善家」として表現し、隠すところなく人間の本音を主張する新しい考え方を「露悪家」として表現する。

人間というのは、本音で生きるのか。
それとも他人のことを気にして、妥協して生きていくのか。
漱石は「どちらも問題あり」と言っているのだが、いまから百年以上も前に、ここまで言えるのは本当に凄いよね。



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