大学入試の二次対策として、過去に出題されている問題を生徒と一緒に解いているのであるが、その中にはなかなか面白い文章がある。
今日扱った文は、相原博之『キャラ化するニッポン』であった。
本文にいわく、最近の若者たちは、お互いにうわべのキャラを設定し、それによってコミュニケーションを行う。
つまり、コミュニケーションを円滑にするために、本来の自分と別のキャラを設定するというのである。
遊びや冗談に近い形で決められたキャラが、その人間の拠り所となるのだ。
そして、うわべのキャラは、人生にとって存在価値そのものともなる。
このことは、現代社会を覆う「わかりやすさの呪縛」や「視覚性の呪縛」と密接に関係していると作者は言う。
現代社会は「見えなければ価値がない。わかりやすくなければ価値がない。」という社会的圧力が広がっているのだと。
コミュニケーションは、お互いがだんだん近づきつつ作り上げられるものだが、若者たちのキャラ・コミュニケーションでは、既に相互の関係は表層的に成立しているのだ。
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