「更級(更科)」の書名の由来については、諸説あるらしい。中でも、一般的な説は、この日記の終わり近くに
「月もいでて闇に暮れたる姨捨(おばすて)に何とて今宵たづね来つらむ」とある。そして、この和歌が「古今集」にある
「わが心慰めかねつ更級や姨捨山に照る月を見て」をふまえており、さらに作者(菅原孝標女)の夫の任地が
信濃の国の更級の近くであった、ということも一因であるそうだ。
さて、「さらしな」というと私は、他に蕎麦のことが頭に浮かぶ。
そば粉の種類によって分類すると、
蕎麦というのは、「更科」「田舎」「藪系」の三つに分かれるらしい。
「更科」は、蕎麦の実を挽いたときに、最初に出てくる白く上品な香りを持つ粉、この一番粉を使用したのが「更科蕎麦」だという。
したがって、見た目が白っぽい蕎麦、これが「更科蕎麦」である。
また「田舎蕎麦」は「蕎麦殻」を挽き込んだ、黒っぽいそば粉により製造されたもの。
蕎麦の香りが強いのが特徴である。
最後に「藪系」だが、「藪系」は甘皮部分を挽き込んだもので、「田舎蕎麦」同様、香りが強いという。
おおー、そろそろ新蕎麦の季節だ。