伊勢は紫式部と同時期に中宮彰子に仕えた女房である。(女房とは、宮中や院、貴族の家などに仕えた女性。部屋=房を与えられ、雑事や貴族の子女の教育を行なった。)彰子に仕えた女房は、紫式部・和泉式部・伊勢大輔など六人いたそうである。
さて、冒頭の和歌は、宮中に奈良の八重桜が献上された時に、受け取り役を先輩の女房である紫式部から譲られた。ただ受け取るだけでなく、和歌を詠めと藤原道長に命じられ、当時新参女房だった伊勢が天皇や中宮の前で詠んだ歌である。
歌が披露されると、その素晴らしさに座はどよめいたという。
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