2020年11月21日土曜日

かつがつ

今教えている古典の教材に「大鏡」という歴史物語があるのだが、その中に「かつがつ、式神(しきがみ)一人内裏に参れ」の台詞が出てくる。

これは陰陽師である安倍晴明が、自分の家来の式神(人の目に見えない鬼神)に対して命令を下す場面である。

さて、この台詞の中の「かつがつ」に注目してみたい。

「かつがつ」とは副詞であり、「且つ且つ」と書いて、①「不満ながら」とか「ともかくも・まあまあ」の意、あるいは②「かろうじて・やっと・わずかに」の意、さらに③「とりあえず・急いで」の意、そして④「早くも・今からもう」の意を持つ。

ここでは③の「とりあえず」の意で使っているのだが、「且つ且つ」の「且つ」だけにしぼってみると「且つ」の意は「一方では」となる。したがって「「且つ」を二つ並べると「一方では、一方では」となり、「あちらこちら」の意が強くなるのだが、それが何故「とりあえず」の意になってしまったのでしょうかね。


 

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