2018年4月15日日曜日

パルネ・ウィラン

                                             ジャズの演奏者には、普段あまりパッとしない演奏だが、突如として神がかり的なとんでもない演奏をすることがある。
ワタシにとってのパルネ・ウィランの「ニューヨークロマンス」というアルバムはそのようなアルバムであった。
(こんなことを言うとパルネファンにはぶっ飛ばされるだろうが。)

本日は雨降りだったゆえ、久しぶりにこのパルネ・ウィランのアルバムを聴く。

パルネ・ウィランというのは、1937年、フランスのニース生まれ、父がアメリカの軍人で発明家で魚類学者。
母はフランス人で比較的裕福な家庭に育ったそうである。
1957年にマイルス・デイヴィス『Ascenseur pour l'Échafaud (死刑台のエレベーター)』で共演し、知られるようになった。1960年代半ばから後半にロックに興味を持ち、ロックのアルバムを録音した。1990年代にジャズに回帰する以前にパンク・ロックのミュージシャンと共に仕事をした。1996年に死去するまでモダン・ジャズのミュージシャンと共演した。フランス・パリで死去 59歳。

「ニューヨークロマンス」は1994年6月の録音である(彼の亡くなる二年前)。
ライナーノーツによると、パルネがアメリカのニューヨークで録音するのは27年ぶり。ウィランの演奏には太くブローする部分と、優しい柔らかい音色による陰翳の深い表現が混在している。このアルバムはまさにその両方を兼ねているアルバムだ。バラード演奏にはフランス風のある種独特の香気・味わいが備わっていて、その演奏にはやはりアメリカのジャズ・ミュージシャンとはどこか違うテイストがある。
これはやはり、アメリカ人の父とフランス人の母という生い立ちと無関係ではないだろう。アメリカの音楽ジャズに、フランス風の抒情と男性的色気のようなもの漂わせるのである。

さて、ワタシがこのアルバムに惹かれる理由はあと二つある。
一つは、リズムセクションのピアノがケニー・バロンであること。
そしてもう一つは、録音がヴァン・ゲルダー・スタジオであること。
ワタシにとっては、これ以上ない組み合わせだった。

最後にジャケット写真。
これもなかなかである。
ベッドの上でソプラノサックスを咥えているのがパルネ・ウィラン、手前の女性は恋人マリー・ムーア(画家・歌手)だ。

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