「芳年(よしとし)」は江戸時代から明治時代にかけて活躍した浮世絵師で、日本が急激に変遷する激動の時代に人気絵師となった人物である。
歴史画、美人画、役者絵、風俗画、古典画、合戦絵など多種多様な浮世絵を手がけ、各分野において独特の画風を見せる。多数の作品があるなかで決して多いとは言えない点数でありながら、衝撃的な無惨絵の描き手としても知られ、「血まみれ芳年」の名でも呼ばれる。
(この展覧会、血まみれの作品はレンタルショップの成人向けコーナーのように、仕切られて展示されていた。)こんな展示は初めての経験である。
さて、芳年のこと。
彼は、浮世絵が需要を失いつつある時代にあって最も成功した浮世絵師であり、門下からは日本がや洋画で活躍する画家を多く輩出した芳年は、「最後の浮世絵師」と評価されることもある。昭和時代などは、陰惨な場面を好んで描く絵師というイメージが勝って一般的人気(専門家の評価とは別)の振るわないところがあったが、その後、画業全般が広く知られるようになるに連れて、一般にも再評価される絵師の一人となっている。
まあ、浮世絵を観るといつも感じることだが、かつての日本人の意匠というのは世界でも頭抜けている。
その構図センスとテクニック、さらに色彩感覚は、他国の比ではないのではないか。
何はともあれ、「芳年展」は十分に行く価値のある展覧会であった。
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