2015年6月18日木曜日

「悉皆(すっかり)」

朝刊の連載小説「それから」がいよいよ佳境に入ってきた。
今日は主人公「代助」のところに、代助が心を寄せる人妻「三千代」が訪れる場面であるのだが、百合の花をめぐって二人の遣り取りがスリリングである。

さて、内容は兎も角、漱石の使う言葉はほんとうに魅力的だ。
今回も「悉皆善くなるなんて、生涯駄目ですわ。」と三千代が言う。
「悉皆」と書いて、「すっかり」と読ませる。
「悉皆」は「悉皆成仏」とあるように、「しっかい」と読んで「ことごとく」と解釈するのが普通だろう。

「すっかり」とは、さすが漱石先生だね。

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