2020年6月9日火曜日

候ふ

「候ふ」という古語がある。
この「候ふ」という古語は、読み方がちょいとメンドクサイ単語で、「さぶらふ」と読んだり「さうらふ」と読んだりするのである。

古語辞典にはその理由が書かれているのだが、大雑把にいうと次のようになる。

中古末期から中世初期にかけて「さうらふ」という語形が生じる。
中世の「平家物語」では「さぶらふ」は女性の会話に、「さうらふ」は男性の会話にと、使い分けがあったが、その後次第に「さうらふ」が「さぶらふ」を圧倒していく。

現在高校二年生で講義している「宇治拾遺物語(鎌倉時代初期の成立)」の中では「読みは読み候ひなむ」の「候ひ」には「さぶらひ」のフリガナが付けてある。
また三年生の「十訓抄(これも鎌倉時代初期と言える)」では「まさしく申し候ふ」の「候ふ」には「さうらふ」のフリガナが付けられているのである。

辞書の「さうらふ」が「さぶらふ」を圧倒していくというのは、このあたりが境目なのだろうか。

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