奈良に新薬師寺というお寺がある。そして、このお寺の仏像に、私の大好きな十二神将がいらっしゃる。(十二神将は本尊の仏様を守護する役目を持った仏像)この十二神将の中で、特に有名なのが所謂、怒髪天(婆娑羅大将)という仏像だ。「怒髪、天を衝く。」のあれである。髪の毛が逆立って、恐ろしい形相で、見る者をにらみつける大変迫力のある仏像である。今日、BSプレミアムの番組で、この十二神将の特集をやっていた。実に懐かしかったのであるが、一方、天井の梁にくっつけられた裸の蛍光灯が映っていて、それが妙にそぐわない蛍光灯だった。そして、「あそこにあれはないだろう。」の感が強くわき出てきた。「多少暗くてもいいから、蛍光灯だけはやめてちょうだい。」である。何年前であったか、しかとは覚えていないが、その時の印象は、薄暗いお堂の中に仏像群が浮かび上がるように立っており、それはそれはムードがあったのだ。仏像というのは、その背景とか照明も含めて仏像だと思うのだが。
なんでも幕末から明治にかけての頃、廃仏毀釈運動の影響で、この寺も荒れ果て、仏像のあるお堂が博打場となっていたそうである。十二神将の中心には本尊の仏様があって、「この仏様はどんな顔をして博打を見ていたのだろうか。」と聊か気にはなるが、こちらのほうが蛍光灯よりは、まだましだろう。
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