現在、講義している古典の教材に「家居のつきづきしく」がある。
これは、徒然草の第十段であるが、「住居」がその「住人」と「つきづきしき(似つかわしい=しっくりと調和がとれている)」状態であるのは、「心憎し」という話だ。
さて、先日、古文単語の「さうざうし」につい触れたのであるが、今日は「心憎し」について触れてみたい。
「心憎し」について、生徒が最初に持つイメージは、「心」が「憎く」思うのであるから、対象について良く思っていないのイメージであろう。
しかしながら、ここでの正解は「心憎し」=「奥ゆかしい」である。
すなわち、相手が妬ましいほど優れているのが「心憎し」なのだ。
この他にも「教養があって上品だ・深みがある」などもある。
そこで、「おおー、そうか『心憎し』とは、相手に嫉妬を抱くほど優れているのだな」と思い込んでしまうと、実はそこに落とし穴があるのだ。
「心憎し」には、「よく見えない・はっきりしない」とか「なんとなく心の通じない所がある」とか「なんとなく恐ろしい・警戒すべきである」、さらに「どうも怪しい・いぶかしい」と言ったマイナスイメージもあるのだ。
受験生諸君、なかなか大変だね。
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