一年生の国語の教科書には、鷲田清一の「真の自立とは」が掲載されている。
これがなかなか読み応えのある文章なので、ここにあげてみる。
「私たちの社会では、できる、できないということが極めて一元的に語られ、何かが『できる』のはプラスで、『できない』のはマイナスもしくは欠落であると単純に捉えられてしまいます。(略)『できる』『できない』による序列は、就学や就職だけでなく、人生全体に影響を及ぼしています。例えば、『老い』に対するネガティブな評価とも関係があるのです。昔は『長老』や『大老』という人々がいたように、老いとはもともとは経験豊富な年長で知恵の備わった人を意味しました。尊敬の念がこもる言葉だったのです。それが今では、自分一人ではできないことが増えていく『衰え』のプロセスと捉えられています。(略)ある時期から『自立』という言葉が急に広まりましたが、私たちの社会ではその意味が誤解されていないでしょうか。自立という言葉には、自己決定ができ、自分がしたことには責任(自己責任)が取れる主体になるということが託されています。これを私たちは、『独立(independence)』と混同していると思うのです。独立とは依存(dependence)に否定の(in)を付加した語で、直訳すれば『非依存』となります。しかし、本当に『独立=非依存』な人などありえない。(略)私たちの生活は、無限の相互依存(independence)で成り立っています。」
このあと筆者は、これからの時代、肝心なのはリーダーではなくフォロワーたちであり、リーダーシップではなくフォロワーシップなのだと、まとめる。
近い未来、リーダーシップよりも賢いフォロワーシップの方がはるかに重要なのです。
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