昨日の「枕草子」六十三段の補足を聊(いささ)か。清少納言はこんなことも言うのだ。「人はなほ、暁の有様こそ、をかしうもあるべけれ。」「人はやはり明け方に(女の家から)帰ろうとする様子が、趣深いものでなければならない。」
男が女の家で、帰ることに気が進まずグズグズしているのだが、そんな男に女が言う、「夜が明けました。みっともないですよ。」すると男はわざとらしく溜息をつく。ここがポイントなのだ。いかにもいかにもの「帰りたくないポーズ」を男はとっているのだが、女はそれを百も承知で、「早く帰りなさい。」と言うのだ。すべてが芝居のように進行することを、清少納言は「をかし(趣深い)」と書くのである。男女の関係というのは、芝居の繰り返しなのかもしれんね。
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