さて、その「飛雲閣」の屋根のことであるが、この屋根は「こけら葺き」だという。
ん?「こけら葺き」?
杮葺き(こけらぶき)とは、屋根葺手法の一つで、木の薄板を幾重にも重ねて施工する工法である。日本に古来伝わる伝統的手法で、多くの文化財の屋根で見ることができるということである。
「こけら葺き」は「杮葺き」と書くのであるが、「杮(こけら)」は「柿(かき)」ではない。「かき」は「市」の部分が「巾」であり、縦棒が上と下で別れている。一方「こけら」の方は縦棒が上から下まで一本の棒となっているのである。パソコンなどの文字ではその判別が不可能なのだ。
ううーん、なかなか厄介だぞ。
さでは「こけら葺き」の「こけら」は何かというと、「こけら落とし」の「こけら」なのである。「こけら」は材木を削った際の木片のことであり、建設工事の最後に屋根などの木片を払うことが語源になっている。転じて体育館、陸上競技場、などのスポーツ施設が開場する際にも報道などで「こけら落とし」と表現される場合があるが、本来は劇場に用いる言葉であるため特に屋根のない屋外施設などでは誤用とされるということだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿