木喰は(1718-1810)は、江戸時代後期の仏教行者・仏像彫刻家・歌人である。
日本全国におびただしい数の遺品が残る「木喰仏」(もくじきぶつ)の作者で、生涯に三度改名し、木喰五行上人、木喰明満上人などとも称する。特定の寺院や宗派に属さず、全国を遍歴して修業した仏教者を行者あるいは遊行僧(ゆぎょうそう)などと称した。木喰は遊行僧の典型であり、日本全国を旅し、訪れた先に一木造の仏像を刻んで奉納した。木喰の作風は伝統的な仏像彫刻とは全く異なった様式を示し、ノミの跡も生々しい型破りなものであるが、無駄を省いた簡潔な造形の中に深い宗教的感情が表現されており、大胆なデフォルメには現代彫刻を思わせる斬新さがある。日本各地に仏像を残した遊行僧としては、木喰より1世紀ほど前の時代に活動した円空がよく知られるが、円空の荒削りで野性的な作風に比べると、木喰の仏像は微笑を浮かべた温和なものが多いのも特色であるという。
もっとも驚くべきは、九十歳にして「これから千体の仏像を彫る」と宣言したことである。
九十歳ですぜ。
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