これは蜘蛛が巣を作る動作であり、また恋人が訪ねてくる前触れと信じられていた。
わが背子(せこ)が 来べき宵なり ささがにの 蜘蛛のふるまひ かねてしるしも (古今集 墨滅)
(今夜は)私の夫が訪ねてくるはず宵である。蜘蛛が巣を作る動作が前もって顕著であるなあ。
*「ささがにの」は「蜘蛛」に係る枕詞
*「かねて」は「予ねて」であり、前もっての意
*「墨滅」は古今集の歌の中で、古写本に書かれていながら墨で消してあるもの。流布(るふ)本では巻末にまとめられている。
現代では、人間からあまり好かれない蜘蛛が、かつては恋愛における大事なファクターとなっていたのですね。
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