この間、ジョージ・ケイブルス(ジャズピアニスト)のアルバム「In A Sentimental Mood」を聴いていると、その中に
「I Thought About You」というジャズのスタンダードナンバーがあった。
英語がまったくダメなワタシが考えてみるに、「私はあなたのことばかり考えている」のような訳が思い浮かぶ。
恋をした男あるいは女の思いなんだろうと。
因みにネット検索をしてみると、つぎのような訳があった。
I Thought About You(Jimmy Van Heusen/Johnny Mercer)
Seems that I read,
何かで読んだか
Or somebody said that
誰かが言っていたような気がする
Out of sight is out of mind
「去る者は日々に疎し」と
Maybe that so but
多分そうだなんだろうけれど
I tried to go and leave you behind
僕は君を残し去ろうとした
What did I find?
でも分かったことと言えば..
<CHORUS>
I took a trip on a train
列車に乗り 旅に出たけれど
And I thought about you
結局 君のことばかり考えていたよ
I passed a shadowy lane
暗がりを通り過ぎては
And I thought about you
君のことを思っていた
Two or three cars parked under the stars
2、3台の車が星空の下、止まっていて
A winding stream
曲がりくねった川も車窓から見える
Moon shining down on some little town
月明かりが小さな街並みをやさしく照らしている
And with each beam, same old dream
一つ一つ、変わらぬ夢を
At every stop that we made
列車が駅に停車するたび
Oh I thought about you
僕は君のことを考えていたよ
But when I pulled down the shade
そして窓の日よけを下ろした時
Then I really felt blue
ひどく切なく寂しい気持ちになった
I peeked through the crack
日よけの隙間から窓を除き
And looked at the track the one going back to you
そして君へと繋がる線路を見つめて
And what did I do?
で、僕はどうしたと思う?
I thought about you..
結局 君のことを考えていたよ..
(日本語訳:東エミ)
さて、日本語訳の歌詞を見ても何となく、相手のことを想うラブソングのような気がするが、この曲のいきさつを読んでみると、これがなかなか面白いことが分かった。
この曲の作曲者は
Jimmy Van Heusen(ジェームズ "ジミー" ・ヴァン・ヒューゼン)、
作詞者は Johnny Mercer(ジョニー・マーサー)。
ヒューゼンが先にこの曲を作曲し、マーサーに聴かせそして作詞をする訳だが、マーサーはヒューゼンから曲を聴いた時、まったくアイデアが浮かばなかったそうだ。
そこで、ベニー・グッドマンのラジオ番組に出演するため、彼はシカゴに向かわなければならず、列車に乗ったものの、やはりずっと曲のことが頭から離れず、眠ることも出来ない。
ふと車窓から外を見ると、月明かりに照らされた街並みが続いている。
つまり歌詞の「君」とは「この曲」のことで、列車に揺られている時の状態、心情を綴って出来上がったのがこの歌詞というわけである。
ふーん、歌の歌詞なんてえものは、そんなものなんだね。